「朝起きると腰が痛い」「長時間の座り仕事で腰が重く感じる」――そんな腰痛の悩みは、30代から70代まで多くの方に共通する現代病です。しかしその多くは、日常生活の中に原因が潜んでおり、正しい知識とケアで改善が期待できます。
本記事では、腰痛の代表的な原因から、体にやさしく続けられるトレーニング、再発を防ぐための生活習慣まで、わかりやすく解説していきます。自宅でできる実践法も紹介しますので、ぜひ日々の生活に取り入れて、腰痛のない快適な毎日を手に入れましょう。
- 《目次》
- 1.腰痛の主な原因とは
- 1-1 筋肉の緊張や疲労によるもの
- 1-2 姿勢の悪化や骨格のゆがみ
- 2.腰痛を悪化させる生活習慣
- 2-1 長時間の座りっぱなし
- 2-2 運動不足と筋力低下
- 3.腰痛に効果的なストレッチと運動
- 3-1 腰まわりをゆるめる基本ストレッチ
- 3-2 太もも裏やお尻の筋肉をほぐす
- 3-3 緩めた筋肉を程よく使う
- 4.ストレッチを習慣にするコツ
- 4-1 毎日決まった時間に行う
- 4-2 無理のない範囲で続ける
- 5.予防と再発防止のポイント
- 5-1 姿勢の見直しと椅子の工夫
- 5-2 医療機関との連携も大切
- まとめ
1. 腰痛の主な原因とは
1-1 筋肉の緊張や疲労によるもの
腰痛の最も一般的な原因は、筋肉の過緊張や疲労です。とくに長時間座りっぱなしの姿勢が続くと、腰まわりの筋肉が固まり、血行が悪くなります。その結果、筋肉内の酸素が不足するなど生理学的な不調を起こし、痛みや重だるさを引き起こすのです。
デスクワークが中心の人、運動習慣のない人は特にこの「筋性腰痛」になりやすい傾向があります。筋肉は同じ長さを維持しようとする作用があります。体を適度に動かして筋肉をほぐすことが、まず第一の対策です。
1日8時間のデスクワークをする人は、脳梗塞の発症リスクが一般に比べ7倍も高くなるというデータもあります。適度に座位姿勢を崩し体を動かすことはとても重要です。
1-2 姿勢の悪化や骨格のゆがみ
もう一つ見逃せないのが、日常の姿勢のクセです。猫背や反り腰、足を組むクセなどが積み重なると、骨盤や脊椎のバランスが崩れ、腰に負担が集中します。これが長期化すると、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった疾患に発展することも。
正しい姿勢を意識するだけで、腰への負担は大きく軽減されます。スマホを見るときやパソコン作業中の姿勢にも注意が必要です。
これらに対して「骨格矯正」の施術のような、骨を叩いたり押さえたりすることをイメージするかもしれません。しかし「骨が疲れた」「骨が動きにくい」と言う感覚はないはずです。骨格を形成するのは筋肉です。ゆがみがあるのは骨ではなく関節(骨変形の疾患は除く)、関節を動かす細胞は筋肉です。
姿勢と聞いて意識して欲しいのは筋肉です。筋肉の使い方のクセが姿勢に影響します。
2. 腰痛を悪化させる生活習慣
2-1 長時間の座りっぱなし
先ほどもあげた長時間の座位姿勢のネガティヴな作用を解説します。近年ではリモートワークの普及により、座る時間がさらに増えています。ところが座っている姿勢は、立っているときよりも腰椎にかかる圧力が高く、長時間続けると腰痛を悪化させる原因になります。
1時間に1回は立ち上がってストレッチをする、あるいは歩くなどして、腰まわりの筋肉に動きを与えることが重要です。スマートウォッチなどで時間を区切って通知するのもおすすめです。
腰まわりの筋肉と言われると、その通り腰や背中をイメージしがちです。その腰や背中のベースは骨盤であり、骨盤が座面に設置し座位姿勢を安定させています。その骨盤の先には脚が続いています。また、腰部にある代表的な筋肉である「大腰筋」は「腸骨筋」とつながり、大腿骨に大きく関連があります。立ち上がったり歩いたりする本当の狙いは、脚の筋肉を動かすことにあると考えます。
2-2 運動不足と筋力低下
中高年になると、自然と筋肉量が減少します。それも20代をピークに、10年ごとに2kg減少するとも言われています。特に腰を支える腹筋・背筋の衰えは、腰への負担増に直結します。筋肉が衰えると、骨や関節に頼らざるを得ず、結果として痛みや不安定感が生じます。これは膝の痛み、肩の可動域狭小化にも同じことが言えます。
無理な筋トレは逆に関節を痛めることもあります。日常の中で軽い運動やストレッチを継続することが、腰痛の予防・改善にはとても効果的です。
3. 腰痛に効果的なストレッチと運動
3-1 腰まわりをゆるめる基本ストレッチ
仰向けになって両膝を胸に引き寄せる「ヒザ抱えストレッチ」は、腰の緊張をやさしくほぐしてくれる基本的な動作です。以下のように行いましょう。
やり方:
-
仰向けに寝る
-
両膝をゆっくり胸の方へ引き寄せる
-
両手で膝を抱え、深呼吸しながら30秒キープ
-
ゆっくり戻して、これを2〜3回繰り返す
朝起きたときや寝る前に行うことで、腰の柔軟性が高まり、慢性的な痛みの予防になります。
3-2 太もも裏やお尻の筋肉をほぐす
腰と密接な関係にあるのが「ハムストリング(太もも裏)」と「臀部(お尻)」の筋肉です。これらが硬くなると、骨盤の動きが悪くなり、腰痛を引き起こしやすくなります。
おすすめストレッチ:前屈ストレッチ
-
脚を前に伸ばして座る
-
背筋を伸ばしながら、ゆっくりと前屈
-
太ももの裏に心地よい伸びを感じたら20秒キープ
無理に伸ばそうとせず、「気持ちいい」と感じる範囲で行うのがコツです。
3-3 緩めた筋肉を程よく使う
柔軟性を高めることは腰痛予防以外にも、健康効果は期待できます。しかし、筋肉が緩んだままでは関節が安定しません。適度に筋肉を活動させることで腰痛を予防できます。
簡単な下肢の運動:スクワット
特別なことはせず、5〜10回のスクワットをしましょう。姿勢や屈む深さはあまり気にせず、膝の曲げ伸ばしをして太ももやふくらはぎに力が入っているのを感じられればO.Kです。もちろん、しっかりしゃがみ込むまで膝を曲げても構いません。
4. ストレッチを習慣にするコツ
4-1 毎日決まった時間に行う
どんなに良いストレッチでも、続かなければ意味がありません。習慣化のコツは「時間を決めて行うこと」です。朝の身支度前、入浴後、就寝前など、自分にとって無理のない時間帯を選びましょう。
タイマーやアプリを活用して「毎日○時にストレッチ」と習慣化すれば、無理なく継続できます。
4-2 無理のない範囲で続ける
ストレッチは「痛気持ちいい」程度がベストです。強く伸ばしすぎたり、反動をつけて行うと、筋肉を傷める可能性があります。体が硬いと感じる方は、まずは短時間から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。
テレビを見ながら、音楽を聴きながらなど、リラックスした状態で行うと長続きします。
※KMPスタジオクラスでのヨガの様子
5. 予防と再発防止のポイント
5-1 姿勢の見直しと椅子の工夫
腰痛を予防するには、正しい座り方と椅子の選び方が重要です。座るときは、以下の点に注意しましょう。
-
・足裏がしっかり床につくようにする
お尻だけでなく、足も姿勢保持に参加させます -
・骨盤を立てて、背もたれに軽く背中を預ける
・腰にクッションを入れてサポートする
この2点は設置面を増やし、安定性を高めることが目的です
・椅子まわりの環境を見直し
ここにあげた注意点を実行しづらい環境ではないかのチェック
5-2 医療機関との連携も大切
慢性的な腰痛や、ストレッチでは改善しない強い痛みがある場合は、早めに整形外科や接骨院、理学療法士に相談しましょう。もちろん、作業療法士であるKMPへの相談もお待ちしています。正しい診断と指導を受けることで、回復が早まります。
市販の湿布やマッサージだけに頼るのではなく、根本的な原因を見つけて対処することが、再発防止には不可欠です。根本的な原因を見つける方法はこちらで紹介→MATという施術
まとめ
腰痛は、加齢や体質だけでなく、日常のちょっとした習慣や姿勢が大きく関係しています。今回ご紹介したストレッチは、どれも特別な器具を使わずに、今日から自宅で始められるものばかりです。
大切なのは「無理なく続けること」。まずは1日3分から始めてみませんか?
腰痛のない快適な毎日を、自分自身のケアで手に入れましょう。KMPでの個別リハビリではさらに詳しく解説し、それぞれの本当の原因に合わせたアプローチを行います。